学会参加のためカナダのバンクーバーに出張してきました。MICCAI2023という世界最大の医療計算機学会です。さらに、MICCAI2023のワークショップのひとつ、ARCADEにも参加してきました。MICCAIとは、Medical Image Computing and Computer Assisted Interventionの略で、今年で、第26回を迎える国際会議です。また、ARCADEとは、Automatic Region-based Coronary Artery Disease diagnostics using X-ray angiography imagEs の略です。
高度な医療診断のため、AIの力を最大限に発揮し、医師や技師を支援する技術開発やシステム提供が最大の目的ですが、ARCADEでは、とくに心臓冠動脈の疾病(特に、狭窄)を冠動脈内の疾病の位置を含め、正確に推定する技術を競う国際コンテストが併設され、その結果を報告するワークショップでした。
位置推定はインスタンスセグメンテーション技術という範疇のもので、与えられた心臓のX線アンジオグラフィ(血管造影画像)から、冠動脈の形状を多角形で囲む領域を割り出す必要があります。しかも、冠動脈には、約26種類のセグメントが定義されていて、推定した多角形と何番のセグメントか(1から26番)を両方答える問題に帰着します。実は、類似問題が、自動運転技術でも利用されます。そこでは、物体検出をするだけでなく、人、車、信号機、自転車など、ほぼ20種類くらいの物体(インスタンス)を多角形でリアルタイムに推定(セグメンテーション)するインスタンスセグメンテーション技術が必要です。自分自身、元来、自動運転でのインスタンスセグメンテーション技術の応用研究が先行だったので、医療の世界でも、同様な技術が求められていることに、新鮮な驚きを感じています。
バンクーバーの公園にて
バンクーバーは、緯度が高く、北海道よりはるかに北に位置します。そのため、10月中旬でしたが、ダウンなど厚着を持参して行ってきました。実際、会議開催期間の2日間は冷たい雨で、ダウンがちょうどでした。また、朝晩は10度以下の気温になるので、東海地方に住み慣れているものにとって、やがてくる冬の先陣に慣れてきた感じでした。
MICCAI2023会議の合間に、近くの公園で野鳥の撮影をしてきました。マガモやハシビロガモなど、日本でもよく見る野鳥がいましたが、これまで見たことのない野鳥も多く、写真撮影も楽しむことができました。