月別アーカイブ: 2017年3月

菜の花畑でつかまえて…

もう退職された技科大の名誉教授から、「技科大が出来てしばらくの間はネー、雨が降ると、地面がぐじゃぐじゃになって、皆、長靴をはいていましたヨ」という話を聞いたことがあります。多分、大学の中の道路は舗装されていなかったのだと思います。雨が降ると、時々この話を思い出します。自分も小学校の頃は、雨が降ると長靴をはいて登下校していたので、それがいかに大変だったか容易に想像できます。

土の道路といえば、昭和なレトロのイメージがありますが、実は今でも、そんなレトロな雰囲気を感じられるところがあります。時々、写真の場所へ行って哲学する習慣にしています。この写真は横浜市ですが、昔住んでいた倉敷市北部の(記憶の中の)風景は、写真そっくりの土の道路で、道路の片方に川が流れ、もう片方は、春になるとあたり一面ピンク色の「れんげ畑」で、近所の子供たちと一緒に駆け出して遊んでいました。川には、水車があちこちに設置され、季節になると、水車で川から水田に水を供給していました。そんな水車の回転の様子をじっと眺めていたのを覚えています。

さて、季節は徐々に本格的な春になってきました。ところどころ、早咲きの桜が咲き、菜の花畑は満開状態です。たまには子供のように菜の花畑の中を駆け出してみたくなります。豊橋鉄道の「菜の花」号は、電車の中も「菜の花」一色で、最初に見たときは、「ううっ」という感じでしたが、今では感覚が麻痺したのか、「(こんな)だもんで」な気分です。

昭和レトロな土の道路が見られる横浜市の風景
技科大近くの菜の花畑(Brassicaceae Burnett)
豊橋鉄道「菜の花」号
豊橋鉄道「菜の花」号(車内、吊革まで菜の花色です)
技科大駐車場の「三毛猫」(今日はどこにドライブにいこうかニャー)


縦の糸は…, 横の糸は…

3月23日卒業式・修了式が行われました。教員の参加は任意なので、滅多に参加しないのですが、副系長ということで、普段着ることのない略礼服を着て出席し、壇上の隅で静かに式を見守っていました。控え室の楽屋では、系長先生らが、「噛まずに学生の名前を読み上げたい」と何度も練習していて、ちょっとほっこりしていました。成人式のようなサプライズもなく、静かに式は進行してゆきました。学長が「シデコブシ」に言及されたのは、ちょっと驚きました。地味な樹木だけにうれしかったことでしょう。

当研究室からは、留学生2名を含む6名のM2が巣立っていくこととなりました。卒業式・修了式に先立つ22日の夜、研究室で歓送会を行いました。今後の皆の国内外での活躍、ならびにご多幸を祈念します。(ってなんか、結婚式のスピーチじゃん(笑))

アイプラザでの卒業式・修了式の立看板とシデコブシ(24日撮影)

研究室の歓送会(場所は豊橋から車で集合した豊川の北海道 (一体どこだい?))

ひねもすのたり

データ工学と情報マネジメントフォーラム(DEIM)、言語処理学会年次大会(NLP)、情報処理学会全国大会(IPSJ)、パターン認識とメディア理解研究会(PRMU)、電子情報通信学会総合大会(IEICE)など、この時期には、当研究室で行っている研究内容を発表できる、全国大会・研究会が集中しています。1年間の研究成果を報告する絶好のチャンスだと思います。KDEラボからは、DEIM2017に1名、NLP2017に2名、PRMUに1名、IEICE2017に3名投稿することができました。

KDEラボの管理人はというと、13日~16日まで筑波大学で行われたNLP2017に参加してきました。言語処理学会年次大会には、豊橋技科大で開催された2011年以来の参加です。こちらはB4学生2名が発表してくれました。 自分は比較的軽装備で、ひねもすのたり、といった気分での参加のつもりでした。現場に行ってみると、人気のセッションは聴講者で満員になり、立ち見も出るという盛況ぶりで、自然言語処理に対する大学・企業等の研究機関の熱の入れようを久々に肌で感じ取ることができました。

NLP2017会場の筑波大学 春日キャンパス

KDEラボから研究発表してくれた2名の学生。右はポスター発表の様子

電車がネタを運ぶ回転ずしに行ってきました。新幹線はあくまでイメージです

透明な空に向けて…

昨年、豊橋技術科学大学は創立40周年記念を迎えました。20年ほど前までは、自分がここに来ることは全く想像もしませんでしたが、すでに技科大の歴史の1/3以上にかかわってきており、技科大での生活が当たり前になっている今を思うと、とても不思議な気持ちになります。40周年記念で、昨年11月技科大の構内の一角に東海地域(愛知県、岐阜県、三重県)にのみ自生する準絶滅危惧種のシデコブシが植樹されました。豊橋市が位置する渥美半島では、田原市に自生地があり、いつかは訪れてみたいと思っていたので40周年記念で、あこがれのシデコブシ植樹のニュースを聞いたときは、ひとりで「よっし」と喜びを隠していました。本当は自然に自生している個体をみたかったのですが、とにかく近くで見られるだけで幸せです。

そんなわけで、つい最近1輪の花をみかけたところで、早速カメラをもって構内にあるシデコブシを撮影してきました。類似する樹木としてはハクモクレン(Magnolia denudata)やコブシ(Magnolia kobus)が有名ですが、ハクモクレンは花びらが幅広く厚みがあり派手な外見です。コブシは、花びらが細長い点は共通ですが、花びらが6枚なのに対して、シデコブシは8枚以上観察されます。昨年、国際コンペのPlantCLEF2016で1000種類の植物に関して研究室の学生君のおかげで世界最高鑑定精度を達成できましたが、この3種類を間違えずに識別できるかどうかはまだ未確認です。今後の課題ですネ(いったい何枚写真を撮れば、深層学習で訓練できるのだろうか…)。満開になるまで、しばらく見守りたいと考えています。


40周年記念の植樹プレート

シデコブシ(Magnolia stellata)

シデコブシ 透明な空に向けて何かを語りかけているように感じます…


豊鉄渥美線のシデコブシ電車